【Sketch】物を観察する眼 自由自在に形を捕まえる為の「手」を鍛えることが出来る方法

Tools Academyで学んだモノトーンスケッチとハイライトスケッチ

スケッチを描くことは得意な方ですが、スケッチのワークショップを社内のデザイナー向けに開催したことがあります。ここで紹介するのは、ToolsAcademyで学んだ【モノトーンスケッチ】と【ハイライトスケッチ】手法です。物を捕まえる方法の一つです。物の陰影を表現する事で、立体が浮かび上がってきます。各工程を分解して、スケッチを描きます。自分の好きな物を題材にして、手で感触を確かめながら、描くことで、その物の特徴を掴んだ描き方が身に着きます。絵が描けなくなった時は、この基本に立ち返ることで、造形思考を深めていくことが出来ます。例えば、メッキの質感や角のアールの表現を観察しなが手を使って触覚を視覚に変換し、描写しながら試行錯誤します。上のスケッチはデザイナー向けに行ったワークショップの成果物の一部です。やり始めの頃はみんなピンと来ない感じですが、スケッチの描き方はここから始まるということを、体験して自分でやってみて分かって欲しかったのです。僕が目からウロコが出た基本トレーニングです。みなさんも是非、好きな物を横に置いて、眺めたり、触ったりしながら、描いて見てください。

 

 

物の陰影を観察することで見えてくること

物が置かれる環境を変えてみて、その陰影の着き方を観察し、スケッチの表現の方法として取り入れることで、物の存在感を高めて行くことが可能となります。プロダクトデザイナーのスケッチ表現には欠かせないのが、環境の設定です。特に家電やカーデザインのカタログなどを見る時に照明の当て方一つで、その製品の見せたい部分をクローズアップすることが可能です。昼時の窓際に置かれた物なのか、夜の暗闇の中に一筋光が当たっている状況なのか。物の見え方にどのような変化があるかをじっくり観察してスケッチすると、スケッチ表現力がぐんと上がります。光の反射ひとつをスケッチで描くには、物を観察するしかありません。僕も少しずつですが、いろいろな物観察しながら、スケッチの表現方法を模索し、今に至ります。

 

例えば炎の表現。炎の揺らぎ方やランダムに燃え盛っている炎を造形表現するにはどうすれば良いか?僕もかなりの回数炎は描いてきました。優秀な造形師に学ぶこともありました。炎の一つの面の揺らぎ方やうねり方一つとっても、どの断面形状は千差万別です。そのうねりひとつの面を10秒で描写できるかどうか。その表現手法を会得するにはやはり、このモノトーンスケッチとハイライトスケッチを鍛錬していくしかありません。これが基本です。故加藤雄章先生に教わったことです。本当に懐かしい思い出ですが、思い出に終わらせることなく、次代のデザイナーが自由自在に鬼に金棒のスケッチを描けるよう、このブログにも書き留めておきたいと思った次第です。