ハイブリッドスタイリングデザイン

■得意が実りに変わる時 

8月後半から今月にかけて、とあるオープンイノベーションプロジェクトに 

参加させていただく機会に恵まれました。 

詳しいことはまだ公表はできませんが、 

今までにデザイナーとしてキャリアアップを図ってきたことが、 

着実に成果につながったと実感出来るプロジェクトでした。 

今回関わったプロジェクトは、アイディアと造形センスを求められるシゴトでした。 

ユニークなアイディアと、合理的な機能を兼ね備えたアイディアが評価され、 

特定ターゲットの人たちが気になって足を留めるような魅力のあるデザインに仕上げ、 

最終CGデザイン選考まで残り、10月のとある大きな展示会で発表されることになりました。 

 

このプロジェクトはデザイナーとして絶好のアピールになると考えていましたので、 

何がんなでも絶対にとってやるとい意気込みで粘りに粘って獲得した案件です。 

デザインとCGという得意分野を活かせるプロジェクトでしたので、 

泥臭いながらも、マメに進捗確認を行いながら、クライアントさんがどんなことを 

求めているのかを手探りですが、スケッチも複数案提案しながら、探っていきました。 

 

公表が出来るようになったら、企画アイディア出し~デザインプロセス~モデリングまでの 

過程を説明したいと考えています。 

 

■ハイブリッド造形思考を活用しよう! 

私の本業はアミューズメント分野ですが、 

他の業界と比べると割とデザインの自由度も高いほうだと思います。 

初期の企画アイディア出しもモデリングの自由度も、 

家電や他のプロダクトと比べると、高い方です。 

制約の中に収まり、設計機構が実装化可能であれば、極端な話なんでもありです。 

つまりデザイナーの想像したイメージをそのまま形に落とし込んでいけます。 

だからこそ、デザイナーは単にスケッチを描いていれば良いわけでなく、 

スタイリングの監修が出来て、モデリングも出来るというスキルが求められてきています。 

かなり難度が高いデザイン×モデリングスキルが必要になってきました。 

そこで、僕は3年前に思い切ってモデラーへ転向して、CADやCGを少しずつですが、 

覚えてデザイナー自らがモデリングも出来ることで、お客さんとのコミュニケーション手段の 

幅を広げつつ、他を圧倒するような見栄えのするデザインを追求してきたわけです。 

 

造形思考を2Dのスケッチで詰めていく段階から解放して、 

自分で形を作り上げていくモデリングの過程を踏めるようになったことで、 

デザインの表現力と伝達力が大幅にレベルアップしました。 

といってもまだまだスケッチとモデリングとの間には大きな壁があるのが現状です。 

スケッチとモデリングのイメージ共有化の技をさらに磨き上げていく必要性を痛切に感じます。 

少しずつですが着実なステップアップを踏んできました。 

 

■反省点を振り返り 

今回のプロジェクトでは試行錯誤の連続でしたが、 

なんとかコンセプトモデルとしては魅せられるレベルには達しました。 

しかし実現性の面でいけば、規約制約などは考慮しきれておらず、 

モデリングにも粗が目立つ状態で、時間の都合もありましたが、 

次のシゴトに活かしていきたい課題もいろいろとあります。 

自分一人だけの力で企画を練るということにはまだまだ限界があり、 

常日頃からインプットする量ももっともっと増やしていくことが重要だと感じました。 

違和感の積み重ねですね。 

モデリング技術とデザイン力をさらに磨いて、 

近未来に実現するソリューションをデザインの力で 

目に見えるようにしていきたいと考えています。 

オープンイノベーションには、デザインの力が不可欠です。 

さらにはイノベーションを実現するためのシミュレーションにはモデリングが不可欠です。 

 

■提供可能な価値を活かせる場を自ら作り上げるには? 

このようにして、デザイナーとモデラーのスキルを掛け合わせることで、 

相乗効果を生み出し、効率化を図りながらも、独自のデザイン造形思考を練り上げるプロセスが確立してきました。 

モデリングは正直なところ3Dの立体把握が苦手だったので、モデリングスキルを身につければ、 

弱点を補えるだろうという気持ちで始めたところもありますが、 

ようやく最近になって、デザインとモデリングを総合したスタイリングが生み出せるようになり、 

実績が少しずつ増えてきつつある段階です。 

自分のシゴトの提供価値を高める為には、技を磨くことだと思います。 

発想力、表現力、伝達力という技を磨いて磨いて、ブラッシュアップしていけば、 

自分にしかできないデザイン、自分にしか提案できないアイディア、自分にしか造形できないモデリング 

が出来上がるのではないかと考えています。 

 

■得意技で勝負出来る世界を考えて見ると 

ただし、デザインとモデリングが出来る人なんてこの世の中にはたくさんいると思います。 

ゲーム業界であれば特に、クリーチャー系やキャラクターモデリングなど、手描きスケッチからモデリングまで 

一人でやってしまうような達人さんがたくさんいる世界です。 

そこで、自分だけにしかできない、提供価値ってなんだろうとふと考えてみました。 

ゲームでは難しいかもしれないですが、プロダクト分野であれば割といけるんじゃないか。 

プロダクトデザインの世界では、デザイナーとモデラーの分業化が進んでいて、 

デザイナーがモデリングまでやるという機会自体が少なくなりつつあります。 

またモデラーはデザイナーからの指示がないとモデリング出来ないような人が増えてきているように思います。 

これは問題です。お互いの領域に寄り添いながら、お互いの領域に歩み寄りつつ、 

分業の垣根を越えて良いもの作ろうよ!と一致団結しない限りはイノベーションなんて生まれないと考えたほうが良いです。 

 

オープンイノベーションを強力に推し進めていくためには、共有可能なイメージが必要です。 

具体的に描かれたビジョンが必要です。それは時にはコンセプトであり、 

時にはデザインモックであり、時には抽象的なビジネスモデルかもしれません。 

どの場面でも重要なのがイメージ可能な指針=記号だと思います。 

この記号を示すことができる唯一の職能はデザイナーだと思います。 

恩師から教わり、ずっと言われ続けていることでもあります。 

未来を予測し、洞察し、ビジョンを描けるデザイナーが活躍出来る世界こそ、 

オープンイノベーションを産み出す新規事業部門や、

異業種横断型共創プロジェクトだったり するのではないでしょうか。 

ご興味ある方は是非ともお声がけ頂けたらと思います!