OLYMPUS AIRアクセサリー「AirCover」

01.応募のきっかけ

OLYMPUSが面白いコンペやってる!と知り、詳しく調べてみました。オープン開発によるAIR01というカメラのアクセサリーコンペだと分かりました。フツーのカメラ本体の外観ではなく、カメラのレンズ部分が本体になっているような面白いデザインだったので、何かアイデア出してみたいなぁという思いを持ちました。しかもwemake主催というから応募しないわけにいかない!さらにさらに、本体を貸し出ししてくれるというではありませんか⁈こんな至れり尽くせりのコンペなんて聞いた事がない!応募前からワクワクしてました。

02.AIR01を貸し出ししてもらう

本体が家に届き撮影アプリをiphoneに入れ、実際に撮影を体験。一般的なデジタル一眼とは全く違うコンセプトに驚きを隠せませんでした。
iphoneアプリがたくさんあり、連携するも、起動待ち時間があったりして、写真撮影、閲覧、編集にそれぞれタイムラグある点は少々面倒かと感じました。統合アプリがあればそれで済みそうです。ソフトウェアもオープン開発にしていることで、統合系アプリケーションの登場を待ち望みます!

03.実物検証

・本体へのアクセサリー装着、脱着方法がポイント。
・スマホ液晶側を固定しながらカメラアングルを変えられる。
・デジタル一眼では撮影出来ないようなショットが可能。
・アウトドアで使用する場合、持ち運びのコンパクト化がポイントになりそう。
・登山経験から防水は必須。
・本体を汚さない工夫。
・落としても本体を壊さないカバーリング。
などが考えられました。
実際にモノで確認出来ることでAIRのメリットデメリットが理解出来、ユーザーリサーチも自分で出来たことが収穫でした。

04.アイデア展開

AIRを使うシーンを想像しながら、アイデアスケッチを展開していきました。登山用とバーベキューなどの屋外イベントでの使用シーンに絞り、どんなことが可能かイメージしていきました。
アイデアや使い方についてはwemake上でこんな使い方ありますよ!と、トーク上で随時投稿されるネタを参照しながら、みんなでアイデアをグツグツ煮込んでいってる。そんな感覚が今までのコンペとは違う、wemakeならではのコミュニケーション方法がとても新鮮で、楽しみながらアイデアを膨らませていくことが出来ました。
最終的には登山用スティックとカバーを組み合わせた持ち運びにも便利なAirCoverと、バーベキューなどのシーンを想定したSmile Lamp Cameraの2案を投稿。

05.3Dデータ化

Rhinocerosを使用してモデリングを進めていきました。
Air Cover
登山用スティックがカメラの三脚に早変わりするようなコンセプト。カバー部分と杖の脱着方法が課題。杖は三脚として利用するよりも登山シーンでは一脚の方が使い勝手が良さそうだとwemakeのコミュニティで議論を重ねていきました。

06.3Dプリンター製造によるコスト制約

スティック込みだと100万を超える高額商品となることが判明!さすがに3Dプリンターのクオリティーで杖とカバーを一式製造することには無理があると判断して、登山用スティック市販品を流用しながら、カバー部分を脱着するタイプに変更を余儀なくされます。メーカーからのフィードバックでは登山用スティックメーカーとのコラボによる商品として売り出せたら高くても買いたいとの評価も頂きました。最終的には、カバー部のみに特化したアクセサリーを想定していくことにしました。

07.投票、最終審査通過

アイデア投票が終わり最終選考に進む案が決定。AirCoverが最終審査を通過しました!僕の個人的な感想は、AirCoverは結局のところカバーだけになりそうだから、なかなか評価されないだろうなという印象だったので、審査通過に驚きを隠せませんでした。どちらかといえばSmile Lamp Cameraの方が面白い事が出来るし、試作を作って確認してみたい!という欲求にかられていただけに、少しあっけにとられてしまったところは否めません。ですが、SmileLampCameraは基板や光学設計レンズが必要になる点で3Dプリンター製造と開発コスト面で厳しいという判断で落選だったとのことです。何か別の機会にでも作ってみたいアイデアなので、めげずにアピールしていこうと考えています。

08.ブラッシュアップ試作

AirCoverのモデリングデータから試作を重ねていきました。3DプリンターはDMMのプリントサービスにて出力。wemakeさんにて検討し、フィードバックを投稿者に頂く流れでモノづくり検討が始まりました。予想以上にコストが合わなく、カバーの形状をできるだけコンパクトにしていく必要がありました。最終的には本体からオフセットしたカバー外形になり、不要部分をそぎ落としていくような発想の転換が起きました。スタイリングデザインよりもコストと機能を重視しなければいけない事に、正直葛藤もありました。最終の試作品では全てをそぎ落としたミニマムデザインとなり、潔いデザインになったのでは、と自負します。
試作検証はwemake様でやって頂き、大変助かりました。個人でやろうとすると時間もないし、お金もない。時間をかけてじっくり取り組みたくてもなかなか、普通のコンペでは出来ることではありません。そこをスピード感と軽いフットワークを持ってフォローしてくれたwemakeの外山さん、鳫子さんには頭が上がりません。またインターンで試作ブラッシュアップの為に素材の選定からデータ作成までして頂いた宇多田さんにも感謝致します。

09.アウトドア検証

実際にアウトドア検証を行って頂きました。都合が合わず参加出来ず残念でしたが、カバーの評価は意外と良かったみたいです。本体はやっぱり汚したくないし、アウトドアでは頻繁にカバンから出し入れしたりと、傷を防止する為にカバーがあることで、撮影に集中出来る。そんなイメージでしょうか。私も登山中にデジタル一眼のレンズ部分に水滴が入ってしまい、撮影が出来なくなった苦い経験があります。本体の扱いに関しては登山中には非常にナイーブになることが予想されます。Air Coverで本体を守る。そんな存在になってくれるととても嬉しい限りです。

10.商品化検討

最終審査も通過して優秀賞を頂きました!
正直なところ3Dプリンターによる製品としてまだまだ完成の域まで達していなかったので、落選だろうなと思っていました。意外にもアウトドアユーザーからの評価も高く、メーカー様からもコンセプトを評価され、商品化検討までたどり着くことが出来ました。
引き続き商品化に向けて検討を重ねていくことになります。
皆さんと一緒に楽しみながらブラッシュアップをしていけたらと考えています。よろしくお願いします!
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