【WEMAKE】NEXT AIRプロジェクトという実証実験から感じたことの備忘録

WEMAKE主催、DAIKINさんのNEXT AIRプロジェクトにて、僕が提案したロボットが一次審査を通過して最終選考まで残りました。どこもロボット祭りですね。
 
1次審査通過後は、コンセプトをチームを作ってブラッシュアップしていくというものでした。詳細なスケジュールと、必要な資料などを事前に告知され、スケジュールに基づいて進めていきます。メーカーの担当者がメンターとして、各案に1名付いて、ブラッシュアップの支援をしてもらいます。
 
■箱が用意されている
まず驚いたのは、詳細なスケジュールと、チーム内での役割を全て一覧表にしたプロジェクトシートを手渡されたことです。そしてコンセプトを練り上げる為にNABCシートというDAIKINさんお手製の事業計画用のフォーマットが用意されていたことです。手堅く事業化をすぐに始められるように緻密に作り上げられた「箱」があるわけです。またコンセプトシートのみでなく、メンターの方がプレゼンする為の補足資料も用意する必要があるということまで規定がありました。ちなみにコンセプトシートは10枚までで、プレゼンは投稿者ではなく、各メンターが行うとのことでした。プレゼンはせめて投稿者本人がやりたいところですが、それは各メーカーのやり方や事情などもあるので、一概には言えませんね。しかしここまで緻密に箱が用意されているとは思いもよりませんでした。手堅くアイディアを集めて、手堅く事業化を狙いたいというメーカーの性格によるものなんだろうと思います。制約や箱がある方が、燃えるという人もいますしね。
 
■特殊なチーム制
チームは各アイディアに興味を持った人が申請し、投稿者とメンターに承認されれば参加できるというものでした。自由に申請は出来ますが、実際にチームに入れるのは承認された人のみということになります。僕のチームは友人であるReadmasterさんとゆーきさんと、プロダクトデザイナーの濱田さんの3名がチームとして承認され、5名体制でした。ここで、私が是非ともチームに参加していただきたかったDr.中松さんを推薦したところ、ほかのメンターの方から、社内外関係なく深く議論をして、普通なら契約無しに議論を進めるようなことはしないが、wemakeでは特別に契約無しで、社員が直接議論するので、少数精鋭でやりたい。仲の良い人と進めたい気持ちは分かるが、状況も考慮して欲しい。Dr.中松さんは一旦保留にすること。といった内容のメールが飛んできました。
■Wemakeの理念 VS 大手メーカーからの意向 という歪み
オープンプラットフォームでやる=社内外関係ないというのは分かります。しかし、契約無しで特別に社員が一般人と直接議論することは特別なんだよ。だから身内でワイワイやるな。というのは、WEMAKEの目指そうとするオープンプラットフォームで「みんなで作る」という理念に反しているのではないでしょうか。身内も巻き込んでワイワイコンセプトをブラッシュアップすることの何がいけないのでしょうか。その理由が僕には理解できませんでした。すでにチームメンバーに入っているReadmasterさんとゆーきさんは友人なので身内だったんですけどね…(笑)
■オープンプロジェクトチームに必要なこととは?
チーム作りという観点から見れば、得意分野や各専門家とチームを組んでコンセプトをブラッシュアップしたり、資料作りをメンバー内で役割分担して資料作りをしていきたいという狙いがあったんだと思います。しかしこのチームというのは僕のグループでは、ほとんど機能しなかったといって良いでしょう。最終的には、結局投稿者とメンターに皺寄せが来るような仕組みになっていました。メーカーがチームに求めることと、チームに参加した人との温度差があまりにも激しく、解離していたということになります。ここはなかなか難しい問題で、相当にファシリテーションに慣れた人やアイディアソンやハッカソンなどの経験をしている人などがいないと、なかなか難しい局面だろうと感じます。投稿者とチームメンバーの収益配分もありますので、ビジネスとして考えれば、なかなか熱が入りづらいというのもあります。コンセプトに共感できるボランティアがどれだけつくかが重要です。各アイディアの技術的な支援をしてくれるようなプロフェッショナルを呼びたいのであれば、そこにはもっとお金をつぎ込むべきだろうなぁという印象を持ちました。そうでなければ他人のアイディアをブラッシュアップするのはかなり骨が折れるし、ついていけない方の方が多いのではないでしょうか。専門コンサルを雇うのに、無料でやってくれる人はなかなかいないのが現状なのと同様です。グランプリとっても3万をチームでわけっこ...ですからね。安すぎます。参加してもコメントしないことが当たり前と捉えた方が 良いです。体裁だけ整っていますが、それだけでは虫が良すぎます。貢献度合に合わせたMAKEPOINTがあるんですから、そのプロジェクトへの貢献度によって対価支払いが本来ならされるべきでしょう。しかしメーカーから支払われるお金でWEMAKE運営者も食べていかなければいけませんので、マネタイズの面では現状が限界なんだろうと察します。
■グループトークの利便性から見るWEMAKEのビジネス性
グループトークという機能は、グループにしか見えない議論をするための掲示板のようなものでしたが、正直なところ、使いづらいという印象しかありませんでした。改善要望を出してグループトークという文字をクリックするとページ全体にグループトークが表示されるようになり、ようやく少し見やすくなりました。それでも議論をするスペースとしては、前回の富士ゼロックスさんの共創プロジェクト時にあった、イシュー機能の方が、とても使いやすかった印象です。なぜイシューページがなくなり、論点機能になったのか。疑問でしかありませんでした。他のユーザーに聞いても同じ印象だろうと思います。つまり、WEMAKE運営者はメーカーの要望重視でプロジェクトを動かさざるを得ず、なかなかユーザー目線で感じるような利便性までは考慮に入れられないということなんだろうと思います。メーカーにとっても、大金をつぎ込んだ一大プロジェクトであり、WEMAKEにとっても、お得意様なわけですから、ビジネスとしては、そこで完結しているんだろうということです。メーカーからの下請け的な立場になるわけです。
■Wemakeという実証実験
結果としては、オープンプラットフォームの中のクローズドコミュニティのあり方について、再考するための良い実証実験になりました。少なくとも、より良いチーム作りをするためには、チームに参加するためのモチベーションアップの仕組み作りや、コンセプトへの愛着、当事者意識などが最も重要な事だとということを改めて学びました。また、チームに対しては、受賞コンセプトに貢献対価が支払われるような仕組みとなっています。最優秀賞受賞コンセプトには50万円+グループメンバーに10万円を分配。となっています。貢献度合いに応じて賞金を分配されるのか、均等に分配されるのか。特に明示はされていません。問題なのは、均等に分配される場合で、承認を得たメンバーがほとんどグループトーク内でほとんどコメントを残さなかった場合ですね(笑)
■個人的な反省
特に今回きつかったのは本業が忙しくてなかなかコンセプトをブラッシュアップする時間がなかったことです。睡眠時間を削れば出来ますが、他にも優先順位を高くしてやらなければいけない事があったので、WEMAKEに時間を割くウェイトがかなり下がってしまい、最終的には締め切り2日前から猛ダッシュで駆け込んだということになってしまいました。本当はCGでモデリングもしてみたかったんですが。そこまで行けなかったので愛着も半分程度ですね。人の意見に左右されながらコンセプトをブラッシュアップするのと、自分内から湧いて出てくるものをグツグツ煮込んでブラッシュアップするのとでは、愛着度がやはり違ってきます。これはとても重要なことで、オープンプラットフォームであれば、愛着を高めていく方法をより研究し、愛着を育むための仕組みや仕掛けをもっともっと作って、動かして揺さぶりをかけていく必要があるのではないでしょうか。といったところが僕からの提案になります。
■まとめ
いかがでしたでしょうか。私なりにWEMAKEのプロジェクトに関わってきて、今回のDAIKINさんのプロジェクトはある種特殊な部類に入りそうだなぁという印象です。とにかくやっている間、辛かった。その印象しかありません。提案コンセプトとしてはメンターの方とメンバーからの意見を元に、練り上げられてより良いネタにはなったかと思いますが、とにかく相性が悪かったということです。DAIKINさんにも今までの文化があると思います。本業で培ってきた技術と開発プロセス、オープンイノベーションに求めることなどなど。そういった文化と、自分がオープンプラットフォームに求めている文化とに差異があったんだろうと思います。その差異がなんなのか、今回のブログに少しだけ留めておきたいと思い長文ですが、記録しておくことにします。 

 

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